テレビに耳ありラジオに目あり

テレビ/ラジオを自由気ままに楽しむためのレビュー・感想おもちゃ箱、あるいは思考遊戯場
TOP > ARCHIVE - 2016年09月

『アメトーーク!』週2回化にまつわる期待と不安

アメトーク

10月から、『アメトーーク!』が週2回放送になるらしい。

http://www.oricon.co.jp/news/2077897/full/

本人は違う曲を演奏しているつもりでも、聴き手からすると「この人、なんか最近似たような曲ばかりやってるな」と感じることが、音楽ではよくある。それは音楽に限らず、漫画でも小説でもよくあることなのだが、そこから受ける印象が「安定感」なのか「マンネリ感」なのかは、判断が結構難しい。

近ごろわりとよく、「同一人物が作る創作物の限界範囲」というようなことを考える。

これも音楽で考えてみると、それぞれ思い当たる節があるのではないだろうか。ミュージシャンはある方向性を打ち出すことによって世に出るが、やがて自らマンネリを感じ、音楽性の幅を広げようとチャレンジする段階が必ず来る。尖っていたバンドが急にバラードをリリースしてみたり、レコーディングにホーンセクションを導入してみたり。

結果、残念ながら全体のクオリティは落ちることが多い。幅を広げることにより、本人は多くの武器を手に入れたような気になるが、もちろん持っている武器の数が多いほうが強いとは限らない。1本しか剣を持たぬ相手に、10種類のあらゆる武器を持って立ち向かったところで、どれも扱いきれぬまま斃されるだけだろう。

では同じことを延々と続け、横ではなく縦方向へと、求道者的に狭い道を掘り進めていったほうがいいかというと、そこには常に行き詰まりの恐怖がある。

『アメトーーク!』が13年やってきたこの段階で週2本になるというのは、非常にリスクの大きい選択肢だが、だからこそ興味深いとも言える。

正直、プロデューサーが共通しているということもあって、近年は『アメトーーク!』と『ロンドンハーツ』が似てきていると感じていた。実際、最近ではこの2つの合同番組も放送されるようになってきているので、そのせいもあるのかもしれないが、出演者のチョイスから企画、演出に至るまで、やはり同じ人が仕切っていると、どうしても似てきてしまう部分があるのは間違いない。ナレーションに同じ人が起用されているだけでも、番組は途端に似た雰囲気になる。

つまり実質的には、今後は『アメトーーク!』が週3本放送されているような感覚に陥るのではないかと、個人的にはやや危惧している。これを、「『笑っていいとも!』のような帯番組よりは少ないから問題ない」と考えるべきか、「やっぱり飽きそう」と感じるか。

そしてもうひとつの問題は、週2回放送になるうえに、日曜のほうは「ゴールデン進出」でもあるということだ。以前、雨上がりの二人がどこかで、「『アメトーーク!』をゴールデンにという話はあるが、そういう番組ではないので断っている」というようなことを発言していたように記憶している(うろ憶え)。だから、たまにゴールデンで特番やるくらいが丁度いい、と。

だから個人的には、今回の報せには強い違和感をおぼえた。ただ、状況や段階によっても価値観は変わるものだから、いろいろと事情はあるのだと思う。本人と言うよりは、周囲の影響が。

まったく想像上の話だが、たとえば『アメトーーク!』に必要予算の3倍量のスポンサーが集まり、一方でゴールデンタイムの番組にはなかなかスポンサーが集まらない、というような状況があるとする。となれば、経営者としては、「じゃあ『アメトーーク!』の枠を増やそうか」という判断になるのは、むしろ自然なことのようにも思える。

無論それは、クリエイターとしての判断ではなく、あくまで経営者としては、だが。しかしテレビ局の上層部が、当然ながら経営者であることもまた間違いのない事実で。

いずれにしろ、今回の『アメトーーク!』倍増計画は、今後のテレビ界を占う試金石になるような気がしている。観る側としては、どうしても週2本になって弱体化していった『シルシルミシル』あたりの前例が浮かんでしまうが、そこで学習したノウハウも、何かしら生かされることになるだろう。

深夜のヒット番組がどのような幅の広げ方を、あるいは信念の貫きかたをしてくるのか、今後の動向に注目していきたい。

スポンサーサイト