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NHK-FMにて新番組『音楽ガハハ』スタート

おととし11月と昨年8月に特番として放送された、マキタスポーツ×レキシ×やついいちろうによるラジオ番組『音楽ガハハ』。この4月から月イチでレギュラー化されることになり、本日4月27日、23時より初回が放送されます。

放送は毎月最終水曜23時~24時の1時間。僕は構成作家として参加しています。

「音楽=カッコいい」というだけでなく、「カッコいい」の中にも笑いがあり、面白さがあり、さまざまな角度から楽しむことができる。そんな音楽の本質的かつ多彩な「面白がり方」を、稀代のトリックスター3人が、音楽と自在に戯れつつ提示したり発掘したりしていく、ちょっと珍しい番組だと思います。

是非!

【NHK-FM『音楽ガハハ』HP】
http://www4.nhk.or.jp/gahaha/

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2016春ドラマ雑感

◆『ラヴソング』(フジテレビ 月曜21:00~21:54

「福山雅治×白衣」という成功パターンを踏襲。これを「期待に応えた」と取るか「またか」と思うか。

「吃音」という重めのテーマと正面から向きあおうという制作者の気概を感じる。だがそうなれば当然、同レベルの覚悟が視聴者にも求められることになる。

1話目のラスト、「歌」という解決策が見えたところで相応のカタルシスを感じられたが、逆に言えば1話目にしてすでに答えがほぼ見えてしまったため、それ以降の緊張感を保つのが難しいような気も。

◆『僕のヤバイ妻』(フジテレビ 火曜22:00~22:54
初回から2時間弱の長尺で来るという強気の戦略。パッと観て明らかにフジテレビっぽくない違和感を感じるが、納得の関西テレビ制作。

タイトルがある種のネタバレになっているとはわかりつつも、謎に次ぐ謎で最後まで引っ張りきった圧巻の初回。

それぞれの思惑が交錯しているうえ展開も速いため見応え充分だが、それは視聴者の側がかなり入り込んで観る必要がある、ということでもある。初回視聴率がいまいちだったのは、尺の長さも含め濃厚すぎたという可能性も。

しかし個人的には、今期最注目。

◆『重版出来!』(TBS 火曜22:00~22:54)
いかにも漫画原作、というハイテンションとオーバーアクションには、個人的にはやや食傷気味。「漫画原作を漫画と同じノリでやるならば、漫画で読んだほうが良い」と身も蓋もないことを考えてしまう。

僕自身がかつて漫画編集部に所属してため、リアルでない箇所がどうしても気になってしまう、というのも少しはあるのかもしれない。

とはいえ、それならば現実的な抑えた演技・演出を単純に求めているのかと問われれば、たぶんそういうわけでもない。

おそらくは、登場人物が「キャラ」として単純化されすぎている、というのが、物語から厚みを奪っているように感じられるのだと思う。

◆『世界一難しい恋』(日本テレビ 水曜22:00~23:00
タイトルで大きく出ているぶん、「社長と社員の恋ならば、いわゆる社内恋愛の一種なわけで、言うほど難しくないのでは」と思ってしまうが、そこはむしろ逆。「そんな普通の恋を、主人公が勝手に難しくしてしまっている」というところが見どころなのだと思う。

基本的には「古き良きラブコメ」といった趣で、特に新鮮味はないが安心して観ていられる。2話目の時点でいまだヒロインの側に「その気」がなさすぎて、それがこの恋愛ドラマの「難易度の高さ」を指し示しているのだとは思うが、あまりにそっけなさすぎて、今のところ予感を感じられないのも事実。

この先どこでヒロインの恋愛スイッチが入るのか、そのタイミングとクオリティでこのドラマの評価が定まってくるのではないか。

◆『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』(TBS 金曜22:00~22:54
なぜか今クールはラブコメが妙に多いような気がするが、そんな中でもこれは異色作。

これまで女性誌が女性目線から女性に向けて伝えてきた数々の婚活ノウハウを、男性目線から鮮やかに覆してみせるという試みが面白い。

もちろんその男性本位なHow toには批判もあるだろうが、むしろその極端さを戯画化レベルにまで発展させることにより、押しつけがましさをエンターテインメントとして昇華することに成功している。深刻な場面をコメディで救うシナリオの運びも巧妙。

「モテない中谷美紀」と「歯に衣着せぬ毒舌家の藤木直人」という、既存の役者イメージからすると「逆張り」の効いたキャラクター設定にも新鮮味があり、特に後者の生き生きとした演技には、新たな扉が開いたような印象を受ける。

◆『OUR HOUSE』(フジテレビ 日曜21:00~21:54
役者陣が脚本に首をかしげながら演技しているように見える。おそらくは役者だけでなくスタッフも。

特に夕陽バックにトランペットを吹くシーンには衝撃を受けた。直前の時間帯に大河ドラマ『真田丸』で深刻な顔を貫いている石田三成が、まさかこんなことになるとは。

◆『99.9-刑事専門弁護士-』(TBS 日曜21:00~21:54
設定的にはほぼ『HERO』狙いだと思うし、その狙いは成功しているように思う。

それぞれの意図が見え隠れする人物相関図に、今後の広がりと深まりを予感させる要素がしっかりと含まれているあたり、さすが「半沢枠」としての確かなクオリティを感じさせる。

個人的には、『HERO』における木村拓哉の存在感に、この先松本潤がどのように迫り、またどのような違いを見せてくれるのか、という点に注目している。

◆『ゆとりですがなにか』(日本テレビ 日曜22:30~23:25
やはり宮藤官九郎脚本ならではの軽妙な味わい。「ゆとり世代」というテーマや「レンタルおじさん」あたりの道具立てにも、相変わらず確かな嗅覚を感じる。

とはいえ初回の時点では、いつもより少しクセが抑えられている気もするが、それは主役級の二人がプレーンなイケメンだからだろうか。一方でその横にいる柳楽優弥が相当なアクの強さを放っているのが対照的で面白い。

吉田鋼太郎と柳楽優弥のアクの強さが、物語をどう掻きまわしてくれるのか楽しみだ。

「ないない」の領域を切り拓くピンクの異星人~ZAZY単独ライブ『ZAZY劇場~ZAZY OMNIBUS~』~

共感を前提とした「あるある」から、常識という名の大気圏をいつの間にか突き抜けて、「ないない」という未知なる宇宙空間へと飛び出してゆく。金髪短パンピンク男ZAZYの笑いには、どうやらそんな「突破力」がある。

元日の『ぐるナイおもしろ荘』出演と、それに続く『ガキの使い』の「山-1グランプリ」優勝によって全国区に名乗りを上げたピン芸人ZAZYによる、東京初の単独ライブ『ZAZY劇場~ZAZY OMNIBUS~』。文字通り、様々なスタイルのネタが繰り出されるオムニバス形式のライブで、思いのほかいろんなZAZYに出会えた。

考えてみれば「ピン芸人のライブ」というのは独特な空間で、客席に自らのアイデアをぶつけていく思い切りと勇気が必要とされる。それは人数構成上当たり前のことではあるのだが、ステージ上にひとりしかいないということは、野球でいえばキャッチャーがいないような状態なのではないか。まるでスタンドの観客に向けて直接ボールを投げているような状況であると考えると、かなり観客のセンスを信頼していない限り、強いボールを投げることはできない。

一般に、ピン芸人にあるあるネタが多いのは、あるいはそのような事情も関係しているのかもしれない。コンビやトリオと違い、ピン芸人は客席とじかにつながるしか選択肢がない。人と人をつなげる有効な手段といえば、やはりまず「共感」である。つまり共感を呼ぶ「あるあるネタ」というのは、客席とつながりやすい手段であると言える。

だが『エンタの神様』による「あるあるネタ」の粗製濫造が起こって以降、ピン芸人の多くが「あるあるネタの先にあるもの」を模索し続けてきた。しかし人間は「ある」ものを共有することはできるが、「ない」ものを共有・共感することはできない。

だとしたら、「あるあるの先」へ行くためには、「共感」ではない、別の要素で勝負する必要があるということだ。そこに見えてくるのが、共感ではなく「違和感」を前提とした「ないない」という領域なのではないか。

しかしそもそも本当はみんな、すでに「ある」ことよりも、まだ見ぬ「ない」ことを観て笑いたいのではなかったか。「知っていることに安心する笑い」よりも、「知らないことにワクワクする笑い」のほうが面白いのではないか。

テレビでお馴染みの名作紙芝居ネタ「絹江おばあさん」もまさにそうなのだが、ZAZYのネタは、かつての芸人に比べて「ないない」のパーセンテージが異様に高い。「絹江」ネタの場合でも、「あるある」なのはネタ振りとして用意された最初の二枚だけで、三枚目ではすでに「ないない」の領域に突入している。

これはハライチの漫才を初めて観たときに感じたことでもあるのだが、彼らの漫才も、かなり序盤の段階で意図的に「ないない」の領域へと足を踏み入れる。そこでは「あるある」で笑いを取ろうという意志はなく、「あるある」は単なる入口として設定されているに過ぎない。

そしてこの日のライブネタの中には、「いねえ奴」という、もはや「あるある」という入口すら取っ払って、ついに最初から最後まで「ないない」一辺倒で押し通すというネタまで登場。ZAZYはここへ来て、もはや「あるある」という第一段ロケットを丸ごと切り離しにかかっているというのか。

などと決めつけてしまってはいけないが、ZAZYには、「あるある」を軽々と飛び越えて「ないない」の領域へと突入してゆくバネのような跳躍力がある。その特異なルックスを引っさげて降臨した新星ZAZYには、「あるある」の地平を颯爽と離陸して、「ないない」の宇宙空間を縦横無尽に飛びまわってもらいたい。