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『日刊サイゾー』ラジオ批評連載コラム「逆にラジオ」第16回更新~『ビートたけしのオールナイトニッポン』~

ラジオコラム第16回は、「オールナイトニッポン45時間スペシャル」内で、なぜか「東京マラソン」中継直後の真っ昼間(12:00~14:00)に放送された異次元空間『ビートたけしのオールナイトニッポン』について。

【誰よりも芸人想いな「殿」が鳴らす、現代お笑い界への警鐘『ビートたけしのオールナイトニッポン』】
http://www.cyzo.com/2013/02/post_12677.html

この放送、『オールナイトニッポン』なのに昼間のオンエアで、録音なのに大事な女房役の高田文夫は休みという、なんだか色々とねじれた状況であったにもかかわらず、蓋を開けてみればやっぱりいつものたけし節。もちろん高田文夫がいないぶん、スピード感という意味では昨年末の『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』にビートたけしが生出演したときほどではなかったが、浅草キッドや松村邦洋を相手に、高田文夫との丁々発止のやりとりとはまた違ったリズムで、いつもよりかなり真面目な話まで引き出されていたのが興味深い。

ちなみに、『ビバリー』出演時のことは同ラジオコラム第12回で書いたので、興味のある方は是非。

【ビートたけしが『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』で披露した、マシンガントークの神髄】
http://www.cyzo.com/2012/12/post_12174.html

さらには今回の『ANN』とともに、今のビートたけしのお笑い観に迫るための手掛かりとして重要な新書『間抜けの構造』に関してのレビューを、もうひとつのブログのほうに書いた。この本を読んでからお笑いコンテストを観たり、若手芸人のネタを観ながらあれこれ考えてみたりすると、また面白味がグッと増す。欲しがっているところに安易な答えが与えられるというよりは、そういうタイプの、考えさせる良書だと思う。

【笑いの中に現実を、厭世観の奥に希望を~『間抜けの構造』/ビートたけし】
http://d.hatena.ne.jp/arsenal4/20130228/1361977282



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『日刊サイゾー』ラジオ批評連載コラム「逆にラジオ」第15回更新~『加藤浩次の金曜Wanted!!』~

今回は、おぎやはぎの矢作が「浩次くん」と呼ぶスッキリ兄さんの番組『加藤浩次の金曜Wanted!!』について。

【スッキリしない問題を掘り起こす元祖狂犬芸人の鋭利な牙『加藤浩次の金曜Wanted!!』】
http://www.cyzo.com/2013/02/post_12565.html

過去に「狂犬」と呼ばれた男の鋭さの根底には何があるのか、そもそもそんなに「狂犬」って呼ばれてたっけか、そういえば千原ジュニアも「ジャックナイフ」と呼ばれてたことになってるけど、それは結構あとづけの話で、当時はそんなに定まった呼ばれかたは蔓延していなかったような気がするがどうか、といったことを考えたり考えなかったりしながら、番組の面白さを伝えるために拾うべきエピソードが多すぎて嬉しい悲鳴(クックドゥードゥルドゥー)をあげながら書いた。どうでもいいが「クックドゥ」ってのは秀逸な商品名だ。

この番組、やっぱりパートナーにケンドーコバヤシを持ってきたということも要素としては大きくて、これまであまり親密でなかった二人の絶妙な距離感と、それが毎週徐々に詰まっていく感触も、ちょっとテレビでは味わえない空気を作り出していて、やっぱりこの二人が向き合って喋っている感じはラジオならではのものだなと改めて思う。

3月いっぱいまでの期間限定番組なので、お笑い好きは急いで聴かないといけない。



『R-1ぐらんぷり2013』感想

まず最初に元も子もないことを言っておきたい。今回はロバート秋山が「体モノマネ」で出ていたら、圧勝していたであろうと。

いきなり話がそれたようだけども、実はこれこそが今回一番言いたいこと、そして言うべきことで、正直分析的な見方をするほどのネタはほとんどない低調な戦いだったと思う。『R-1』は毎年低調だと言われることが多いが、中でも今年は「キンタロー。vsスギちゃんの新旧一発屋対決」という話題性もさほどの山場にならず、いつも以上に「なぜこの人を決勝に残したんだろう」という運営サイドの選択ミスを強く感じさせた。

以下、登場順に。

《Aブロック》
【岸学】
ジャック・バウワーを捨てて臨んだこの大会、という触れ込みだが、むしろここに至るまでジャック・バウワーを捨てずに持ち歩いていたことに驚く。ジャック・バウワーのネタも特に面白かったことはないが、今回披露した「ダイエットマン」のネタも、クオリティ的にはほぼ変わらない印象。 ネタの内容は「デブあるある」+「モテないあるある」だが、その二つの要素があるあるとしてありがちなうえ、中身も単なるあるあるの範疇を越えず。 キャラも衣装も中途半端で特に方向性がなく、キャラ勝負にしろネタ勝負にしろ弱い。

【三浦マイルド】
一本目の「広島弁講座」は、ワードセンスというより顔芸と言い方のゴリ押しにより早い段階で飽きの来る内容で、結果取り残された前髪のインパクトだけが残った。しかし二本目の道路交通警備員西岡さんのネタは、あるあるというよりは悲壮感をユーモアで跳ね返すドキュメンタリーとして面白く、上っ面のあるあるネタよりは深みがあった。深みといっても、一般にはまったく不必要な深みなんだけど、ネタに個人の体験に基づいた具体性があるぶん、普遍的なあるあるから固有体験としての「ないない」の領域に一歩踏み込んでいて、その「ギリギリありそうでない」感じが観る側の想像力を刺激する。

二本目だけを評価するならば順当な優勝。一本目を含めると微妙。

【ヤナギブソン】
いかにも計算高さがプンプンと漂う円グラフネタ。それだけに、どう計算でなく見せるか、計算から外れた部分を見せるかという段階の勝負になるが、そこまでいかず計算内にすべてが小さく収まった感じ。後半ぶっ壊れてくれないと物足りない。こういうネタをよく構成力で評価する向きがあるが、後半枠組みを自ら破壊するところまで含めての構成力だろう。

【プラスマイナス岩橋】
いつもの衝動的言動を、無理矢理一本のネタにまとめたようなつぎはぎの即席感。バラエティ番組で突如やり始めるときのあの独特のクレイジー感が、ネタという枠組内でずいぶん窮屈そうだった。いつものノー・コントロールな感じが大好きだっただけに、ネタという型にはめること自体に無理があるのかなと。

《Bブロック》
【ヒューマン中村】
恒例のフリップネタだが、一本目は昨年ほどではなく、二本目は昨年レベルではあったが、やはりインパクトで負けたという印象。毎年クオリティで勝負しようというスタイルには好感が持てるが、発見を求める大会においてはどうしても不利になる。ネタの中に(というか本当はキャラクターに)道を踏み外しそうな危うさが出てくると、バカリズムのレベルに達するような気がするが、後から加える要素としてはそこが一番難しいとも思う。

【三遊亭こうもり】
いわゆる落語的な上手さ勝負になると、結局のところ誰もねづっちに勝てない。そのねづっちが現状ですでに勝ってない以上、上手さで勝負すること自体がすでに不毛だと改めて痛感させられた。

【田上よしえ】
古臭い演技っぽさで勝負してくるかと思いきや、今回はひとつひとつの芸能人ネタの精度にも安定感があり、勢いで誤魔化さないその姿勢はちょっと意外だった。ただ、内容的にはネタの羅列に終始してしまっていたので、何か強固な縦軸が欲しい。そういう意味で、繰り返されるヨネスケはちょっと効いていたが。

【桂三度】
やっぱりナベアツのほうが断然いい。短時間の落語で爆笑を取るのは難しいなぁと、改めて。

《Cブロック》
【キンタロー。】
すでに旬は過ぎ目新しさはない。となるとバリエーションが求められるが、やはり前田敦子以外のモノマネネタの精度が低いのが足を引っ張った。

【スギちゃん】
模索と挫折を繰り返しているニュースタイルではなく、ワイルド延命策のほうを選んできた。客席の反応でワイルドネタの仕分けをするという内容だが、その客の使い方から漂う強烈な営業臭に場がなごむ。しかし緊張感のある大会で、客席をなごませるのは審査員向けには逆効果。

【アンドーひであき】
「パントマイム+モノマネ」というスタイルには、少なくともこの大会においては斬新さがあり、その内実が「さほど似てないモノマネ」であったとしても、一本目は釘づけになったのも事実。だが有名人のモノマネを連発した一本目に比べると、二本目は明らかにネタ不足で、場つなぎ的な動きが多かった。

【雷ジャクソン高本】
自らの体験に基づく自衛官ネタは、本人が言うほど過激でも予想外でもなかった。三浦マイルドの二本目の「西岡さん」のネタと比べると、重要なのは言葉の精度だということが明確になる。