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ドラマ『嘘の戦争』感想ツイートまとめ vol.2

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【ドラマ『嘘の戦争』感想ツイートまとめ vol.1】
http://arsenal4.blog65.fc2.com/blog-entry-335.html

















【喜怒哀楽を越えてほくそ笑む草彅剛の怪演が光る『嘘の戦争』~2017冬ドラマ初回レビュー~】
http://arsenal4.blog65.fc2.com/blog-entry-333.html

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『就活家族~きっと、うまくいく~』/容赦なき「因果律」がもたらす拡散と集約のダイナミズム

就活家族

今どき珍しいほどに「因果律」の厳しいドラマだった。視聴者のリアクションから逆算した「ご都合主義」が蔓延する昨今のドラマ界において、ここまで硬派な作品は貴重であり、むしろ新鮮ですらあった。

ドラマの原動力とは、基本的に「火事場の馬鹿力」である。人間が追い込まれた時にどんなアクションを起こし、何を言い出すのか、誰もがそれを観たがっている。

しかしそこでより重要なのは、実際にキャラクターが発揮する「馬鹿力」のほうよりも、実のところ「火事場」という危機的状況のほうである。まずは「火事場」というピンチに追い込まれなければ、人は「馬鹿力」を発揮しようがないからだ。ピンチでもないのに「馬鹿力」を発揮するキャラクターは、文字通りの「馬鹿」に見えてしまう。

登場人物の言動が状況にどんな影響を与え、どのように動かしていくのか。その影響がポジティブであるほど良いような気がついしてしまうが、そんなキャラクター思いの展開をこそ「ご都合主義」と呼ぶ。観ているほうは、「なんかこの人たち、ほっといてもうまくいくんじゃないの?」という気分になり、それならば「じゃあ観なくてもいいか」となってしまう。「火事場」の予感がない作品を、人はなかなか観ようとは思わない。

その点、観る者を惹きつける作品とは、登場人物の言動が、いちいちこれでもかというくらい状況にネガティブな影響を与え続ける作品のことである。良いことが起こったあとにも、その影響で必ず副作用的に悪いことが起こる。そして状況の悪化は、さらに悪い状況をもたらす。それはまた、人から人へと連鎖してゆく。

実のところ当初、タイトルに取ってつけたように含まれている「~きっと、うまくいく~」というフレーズに、一抹の不安を感じていた。昨今の無責任なポジティブ・シンキングを押しつけるJ-POPの歌詞のように、あまりにアバウトな楽観がそこに見えたからだ。

しかし作品を最後まで観た今となっては、その希望的フレーズが、むしろ家族の追い込まれた絶望的な現状を示唆していたということに気づく。「(この先)きっと、うまくいく」というのは、「(いまのところ)全然うまくいっていない」ということだから。とはいえ題名につけ加えられたこの一節は、ドラマを観る前の視聴者にとっては蛇足であるのも確かで、少なからず作品の「ハク」を損なうものであったかもしれない。

一流企業の人事部長である父(三浦友和)、私立中学の教師である母(黒木瞳)、宝飾メーカーで働きはじめた娘(前田敦子)、就職活動中の息子(工藤阿須加)。それぞれの周囲に致命的な問題が発生し、それに手を打てどもなかなか上手くいかず、あるいはむしろ事態の悪化を招きさえする。そして家族四人が各個に抱えていた複数の問題が、もがけばもがくほどにこじれていく中でやがて複雑に絡まりあい連鎖。互いの状況に思いがけぬ影響を与えあいながらひとつの大きな渦を形勢し、最終的には「家族」という大もとのテーマへと回帰してゆく。

その「拡散」と「集約」のプロセスは、コンパクトな設定に反して非常にダイナミックな道のりであった。いや日常に則したコンパクトな設定であるからこそ、ちょっとした心の動きすらダイナミックに感じられたのかもしれない。そしてそのダイナミズムの源泉には、「何をやっても上手くいかない」というもどかしさを多分に含んだ厳しい「因果律」がある。

「近ごろのドラマはご都合主義が目に余る」と感じている人にこそ、観てほしい本格派ドラマである。なにも猟奇殺人や不治の病に頼らずとも、スリルや緊張感を生み出すことは充分に可能であると見事に証明してみせた力作。

ドラマ『嘘の戦争』感想ツイートまとめ vol.1

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2017年1月スタートの冬ドラマの中で、最も楽しんで観ている『嘘の戦争』。
その感想ツイートがいつの間にかだいぶたまってきたので、ここにまとめて置いてみます。



















【喜怒哀楽を越えてほくそ笑む草彅剛の怪演が光る『嘘の戦争』~2017冬ドラマ初回レビュー~】
http://arsenal4.blog65.fc2.com/blog-entry-333.html

喜怒哀楽を越えてほくそ笑む草彅剛の怪演が光る『嘘の戦争』~2017冬ドラマ初回レビュー~

嘘の戦争

「草彅剛・復讐シリーズ」第2弾と銘打ったこの『嘘の戦争』。「いつのまにシリーズに?」という疑問はさておき、その第1弾にあたる『銭の戦争』が素晴らしかったので今作も期待していたのだが、やはり初回から期待を裏切らない面白さ。このキャスト・スタッフが再集結した意義を強く感じさせるスタートを切った。

とはいえこのドラマには事前からいくらかの不安要素もあって、それは今作が「オリジナル脚本」であるという点。前作『銭の戦争』が韓国の大ヒットドラマのリメイクであったことを考えると、ドラマの土台となる原作の部分が抜けた状態であのクオリティを保てるのかどうか、という心配はあった。

そもそも「シリーズ」とはいっても、ストーリーにしろキャラクターにしろ、基本的に前作との関連性はなく、たとえば草彅剛と大杉漣の共演など、一部に共通点が観られる程度。ゆえにプロットの充実していた前作のクオリティを同レベルで引き継ぐ、というのはかなり難しいと思われたのだが、蓋を開けてみれば「主人公の復讐戦」というテーマの核心部分がきっちりと受け継がれ、早くも前作同様にめくるめく心理戦が展開されている。

しいて言えば、物語をタイトかつスピーディーに展開したいあまり、ややご都合主義的というか、今のところ人が狙い通りに動きすぎているのが少し気にはなる。だがそこは初回特有の「力み」でもあるだろうし、実際にその展開の「速さ」と「密度」は物語の駆動力向上に一定の効果を挙げている。

そして何よりも本作で魅力を放っているのは、いま最も「ほくそ笑む」表情が似合う俳優・草彅剛の食わせ者感あふれる演技である。今回彼が演じる一ノ瀬浩一という人物は、その心の奥底に感じられる芯の強さという意味においては、『銭の戦争』で彼が演じていた白石富生に通じる部分もある。しかしキャラクターとしてはむしろ、詐欺師という役柄も相まって、前作で渡部篤郎が演じていた赤松大介のほうに近い。

『銭の戦争』における渡部篤郎の、冷静さと狂気を共存させた演技はまさに「怪演」と呼ぶべきもので、作品をワンランク上へと押し上げる力を持っていたが、今作においてはまさにその役割を草彅剛の演技が担っている。

役者というのはある段階から、単なる見た目の格好良さを越えて、喜怒哀楽の入り交じった状態や、善悪が入り乱れる人間臭いキャラクターを演じるステージへと突入してゆく。

かつての松田優作がそうであったように、渡部篤郎はすでにその領域における第一人者だと個人的には捉えているが、そんな実力者との共演経験を経て、草彅剛もまた役者としてのネクストステージへと駆け上がっている。そんな気迫が画面を越えて伝わってくる。

そもそも「喜怒哀楽」なんてものは、単なる便宜上の分類でしかなくて、人間の感情は本来分類不可能なものだ。たとえば100%混じりっけのない「喜」という感情があるかといえば疑わしく、そこにちょっとだけ哀しみが混じっていることもあれば、どこかに怒りが混ざり込んでいることだってある。当然「喜怒哀楽」の四つ以外にも様々な感情があるし、まだ言葉になっていない感情だってきっとたくさん存在する。

もちろん「善悪」に関しても同様で、世の中の多くの事柄は、そのどちらかにキッパリと分類できるものではない。そういった便宜上の分類とは別の、不可分の領域、あるいは複数の感情がクロスオーバーして混沌としている領域というのがたしかにあって、作品の面白さを支えるリアリティというのは、そういった未知の領域を表現できるかどうかにかかっている。

そしてその領域へと達するにはまず、あらゆる既存の感情を疑ってかかることが必要で、そのためには自分自身をいったん突き放したうえで嗤うような、皮肉めいたユーモアが不可欠である。俳優・草彅剛にはそれが備わっているのだと思う。

彼の持つ冷めたユーモアの感覚は、長年バラエティで共演してきたタモリから受け継がれたものなのかもしれない……というのは僕のようないちタモリファンの掲げる理想論に過ぎないのかもしれなくて、実際のところ以前にも、『いいとも』最終回の際に披露された中居正広のスピーチに関して、ここにほぼ同じようなことを書いている。

【『笑っていいとも!グランドフィナーレ 感謝の超特大号』~模倣困難なタモリイズムの継承~】
http://arsenal4.blog65.fc2.com/blog-entry-269.html

と、なんでもかんでもタモリを通して考えてしまうのはタモリ本人にしても荷が重いかもしれないが、プライベートでもつきあいのある草彅剛がその背中から「表現における本質的な何か」を学んでいたとしてもなんら不思議はない。いずれにしろ草彅剛がいま、最も魅力的な役者の一人であることに変わりはない。

本作にはその他にも、『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』でキャラクターの幅をグッと広げてきた藤木直人や、『HOPE~期待ゼロの新入社員~』でプレーンな輝きを見せた山本美月、そしてもちろん前作に続きいぶし銀の存在感で作品に奥行きを加える大杉漣など、周囲の役者陣も魅力的なラインナップが揃う。

とりあえず、この時点で出せる要素を全力で詰め込んでみせた印象のある初回。そのぶん今後へのハードルが上がったとも言えるが、オリジナル脚本で前作に匹敵、あるいは凌駕することができるのか、役者陣の表現力とカンテレドラマ班の底力に期待しつつ観ていきたい、今期最注目作品である。


◆前作レビュー【俳優陣の名演怪演と半沢リベンジ型脚本が光る『銭の戦争』】
http://arsenal4.blog65.fc2.com/blog-entry-287.html

『真田丸』いよいよ終盤、描かれすぎた淀君と幸村の信頼関係が誘発する懸念と期待

大河ドラマ『真田丸』

大河ドラマ『真田丸』におけるキャラクター設定に、ここへきて無理が目立ちはじめている。三谷幸喜脚本による新解釈のツケは、やはり物語後半に少なからず負荷をかけるということらしい。特に歴史ドラマは結末が決まっている以上、斬新なキャラクター設定はどこかに齟齬を生じさせることになる。そこは歴史物ならではの難しさだろう。

特に気になるのは、淀君(茶々)と真田幸村(信繁)との関係である。僕は淀君が物語に登場した4月の時点で、以下のようなツイートをしていた。素朴な疑問だが、そこにはすでに懸念の種があった。




この『真田丸』というドラマの中で、幸村と淀君は、出逢った当初から殊に親密な関係として描かれてきた。淀君は幸村を大いに信頼し、秀吉に言えないような悩みや弱味も幸村には漏らした。少なくとも淀君にとって、このドラマ内で最も信頼できる人間は、側近の誰でもなく幸村であることに疑いはなかった。

だがその描き方には、歴史上の結果から逆算すると、やはり無理があった。同じく9月のツイートを引用してみる。




大坂の陣において、豊臣方は愚かな判断の連続に運命を委ねることになる。その中心にいるのは、淀君とその息子である豊臣秀頼である。そしてこの三谷脚本において、秀頼は利発な青年として描かれている。

豊臣方の決定権は、この二人のどちらかにしかない。淀君は幸村を元来信頼しており、秀頼も幸村の知性に信頼を置きはじめている。だとしたら、すべて幸村のアイデアどおりに事は進むはずなのである。幸村はじめ浪人衆と常に対立する乳母や叔父(織田有楽斎)の意見など、ものの数ではない。淀君は幼少期から乳母に特別な信頼を寄せているようには描かれず、有楽斎との関係についてはまったく描かれていないからだ。

それに対し、淀君と幸村の信頼関係は、遥かにぶ厚く描かれてきた。さらには淀君もまた、かつて様々な作品内で作り上げられてきた無知でヒステリックな悪女像とは異なり、本作においては冷静かつ利発な人間として描かれている。

だとすれば幸村の妙案は、百発百中で通るはずなのである。それで家康に勝てたかどうかはもちろんわからないが、少なくとも幸村を中心に、トップへの風通しの良い組織を組み上げることができたのは間違いない。

今話(第44回「築城」)では、最後にようやく秀頼の一存により、辛うじて幸村の案が最低限認められることとなった。しかしここで秀頼と幸村の信頼関係を強めてしまったことも、おそらくはこの先の物語展開を難しくする足枷になるだろう。全体としてはあくまでも、「風通しの悪い組織」として大坂方を描かざるを得ない以上は。

現状では、とにかく淀君の演技が難しくなっている。「幸村への根本的な信頼はありつつも、幸村を含む浪人全体はけっして信頼しない」という矛盾した距離感を要求されるからである。

この先、ゴールへの抜け道があるとすれば、やはりこのドラマが秀吉の晩年をそう描いたように、淀君をここから完全に「ご乱心」モードへと持っていくしかないのではないか。

つまり結局のところは他作品が描いてきたように、「ヒステリックな淀君」へと変貌させるしかないように見えるのだが、眼前に迫り来る戦火により淀君をどのように変身させてゆくのか、そこにはむしろ三谷脚本への期待のようなものさえある。なぜならばこの『真田丸』には、あの鋭敏な秀吉が徐々に鈍磨し乱心してゆく晩年を、見事に描き切ったという実績があるからである。

かなり難しい綱渡りだとは思うが、歴史の新解釈に挑戦する脚本家にとって、間違いなく腕の見せどころである。


【大河ドラマ『真田丸』をより深く、多角的に味わうためのルーツ的名ドラマ2作】
http://tmykinoue.hatenablog.com/entry/2016/09/16/173932

【真田昌幸の遺言~『真田丸』『城塞』『真田太平記』それぞれが遺した珠玉の言葉たち~】
http://tmykinoue.hatenablog.com/entry/2016/09/26/223102