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『キングオブコント2017』感想~現実から価値観をズラす悪戯のセンス、それを徹底してエスカレートさせる勇気~

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4分間のコントは基本的に、「現実から1箇所だけ何かをズラして、それをエスカレートさせて終わる」。それを基本の型として観ていくと、勝負どころはおよそ2箇所に絞られる。

1つは「どこを現実(常識)からズラすか」。もう1つは「それをどのように(そしてどこまで)エスカレートさせていくか」。前者は「横の動き」、後者は「縦の動き」というイメージである。前者を「設定」、後者を「展開」と言い換えてもいい。

もちろん、「そんな既存の型などすっかり破壊したものが観たい」という気持ちも多分にある。しかし最終的に点数勝負となると、ある程度は音楽で言うところのベタな「コード進行」をベースに評価せざるを得ない部分があるのも事実だろう。

そしてその範囲内であっても、先に述べたように差のつく勝負どころは確実にある。物事を常識からズラすセンスと、エスカレートさせる勇気。その2点に注目しながら、今大会を観た。……ような気がする。……その割には違うことばかり言うかもしれない。

以下、登場順に感想を。

【わらふぢなるお】
カスタマーサポートセンターのサポート係と、そこに電話をかけるお客様という設定。

しかし通常であればモンスターカスタマーが出てきそうなところを、モンスター要素をサポート係のほうに持たせ、お客様のほうが常識的社会人であるという逆転現象が起きている。

現実にありがちな要素をきれいに反転させるという手法は、ベタなズラし方だが設定としては安定する。

問題はそうやって安定した設定から、事態がさほどエスカレートせずに小さくまとまってしまったことのほうだろう。設定がベタな場合、展開は相当に飛躍させなければ物足りなく感じる。

【ジャングルポケット】
1本目はエレベーターに乗る間際の攻防。

深刻な別れ話を、エレベーターに乗る瞬間という流動的な状況でおこなう点が、現実からズラしてある要素。

彼らは毎度、3人でないとできない設定をしっかり持ってくるのが流石。

目の前で繰り広げられるカップルの別れ話を迷惑がっていた斉藤が、中盤からはむしろ積極的に食いついてしまうというように、「起承転結」でいうところの「転」の部分が強いのがジャングルポケットの特長であり武器だと思う。

ただし昨年のネタに比べると、動きがややおとなしく、インパクトに欠ける印象も。

2本目は銃を突きつけられた人質という状況から、恐怖のポイントを銃以外の物(ロッカー)へとズラしてある。

こちらは音も含めアクションは大きかったが、展開がさほどエスカレートせずに終わった印象。

しかしジャングルポケットのコントは、本当にハズれがない。

【かまいたち】
1本目は公園で告白された時のリアクションを練習する学生と、それを見ている同級生。こうやって説明してもわけがわからないあたり、常識的な状況からはかなり思い切ってズラしてある。

そんな練習をわざわざするのもおかしければ、見えない相手に向かってしているのもおかしい。つまりこのコントに関しては、基本である「1箇所」ではなく「2箇所」ズラしてあるという見方もできるかもしれない。

そういう意味では、現実的に見えてかなり挑戦的な設定だが、この2つめの「見えない相手」という要素が、別の形で後半効いてくる。それによって後半は、劇的に恐怖感をエスカレートさせることに成功している。

2本目はウェットスーツが脱げないというだけの話。本当にそれだけなのだが、そのミニマムな設定の狭さこそが、全体にタイトな強度をもたらしている。

ツッコミに回ったときの山内の凄さは、目の前の事象だけでなく「相手の思考回路をも先読みしてツッコんで来る」ことだろう。

相手が「何をやったか」だけでなく、「何を考えてそうしたか」まで読み取ったうえでツッコんで来る。実際に「起こったこと」だけでなく、「考えているけどまだ起こっていないこと」にもツッコミを入れられるという意味で、「未来形のツッコミ」であるとも言えるかもしれない。

ちなみにこの「先読みツッコミ」の能力者としていま個人的に注目しているのがアインシュタインの河井ゆずるで、彼らのラジオ番組『アインシュタインのヒラメキラジオ』(KBS京都)では、強力な顔面と非力な学力を持つ相方・稲田の弛緩した思考回路をビシバシと先読みして窮地に追い込むという芸当が炸裂している。個人的にはいま一番面白いラジオ番組だと思っているので本気でおすすめしたい。

話を戻すと、かまいたちの優勝は至極妥当だったように思う。設定段階における「ズラし」という横の動きと、それをエスカレートさせ転がしていく縦の動きが連動した結果、ねじれながら螺旋状に上昇していくような、斜め上方向への推進力を強く感じた。

【アンガールズ】
2本とも安定したクオリティで安心して観ていられたが、彼らぐらい売れてしまうと何かこれまでとは違う実験的要素を出すのでなければ、こういう大会に出ることはあまり意味がないような気も。

アンガールズにとって4分はちょっと短すぎるようで、もっと長尺で後半エスカレートしていく形がベストであるように思う。

【パーパー】
モテない男の卒業式。

以前ネタ番組で観たときは、独特の空気感にそれなりのインパクトを受けたような記憶があるが、今日は小さくまとまった感じでほとんど印象に残らなかった。

2本前にやったかまいたちの学生ネタに比べるとヒネりが足りないように見えてしまった、という出演順の作用も少しはあるのかもしれない。

【さらば青春の光】
1本目は居酒屋でのよくある注文間違いが、実は店側のあざとい売り上げ向上策であることが徐々に明らかになっていく。

まさにちょっとした日常の「ズレ」がどんどんエスカレートしていく状況なのだが、この人たちは本当にこの「エスカレートのさせ方」が上手い。一段一段ギアを上げていくきっかけとなる言動も明確で、「あ、いまギアが一段上がった!」というのが、観ていると手に取るようにわかる。

2本目はパワースポットの岩を守る警備員の話。「ありそうでない、でも役割的にはあるのかもしれない職業」という絶妙な設定。「重要な場所には警備員が必要」という世間の常識を逆手に取ったような、発想の鮮やかなる転換。

「パワースポットに最接近し続けているのに全然幸せじゃない」という一点を突かれ質問攻めに遭う警備員が、途中から逆ギレして自らの不幸を独白しはじめるという劇的なギアチェンジの妙。

2本とも間違いなくクオリティが高く、個人的にはかまいたちかさらばのどちらかが優勝に相応しいと感じた。

【にゃんこスター】
結成半年弱の男女コンビがそのインパクトで今大会の話題をかっさらった感があるが、正直そこまで斬新だとは感じなかった。

男(スーパー3助)のほうは「実況解説型ツッコミ+叫び+右往左往+工作」という、書き起こしてみるとその構成要素は完全にもう中学生フォロワー。ただし「もう中」ほど天然ではないようで、さほど状況からズレることなく的確にツッコミができてしまっているぶん小さくまとまっている感がある。

一方で女性(アンゴラ村長)のほうはキンタロー。的な動きで黙々と踊り続ける。

となると、肝は動きの質とツッコミのワードセンスにかかってくるが、特にツッコミの言葉選びが実況の粋を出ておらず、単に大声で状況をそのまま説明しているだけの状態が続くため、やや物足りなさを感じた。

ネタは2本とも同じスタイルだったが、さすがに2本目は早々に飽きが来てしまった。

コンビ名も含めて、ニューフェイスならではの「人を食ったような感じ」が評価を得たのだと思うが、ネタ自体はむしろ「丁寧にちゃんと伝えようとしすぎている」印象を受けた。このキャラクターでいくならば、もっと観客を置き去りにする覚悟でぶっちぎって欲しかったが、そういうタイプでもないように見えた。

【アキナ】
バイト控え室での会話劇。

あえておとなしめの設定をおとなしいままホラーに変換する、という見せ方の工夫は感じたが、その演出ありきのスタイルがネタ自体を矮小化させてしまっている感じを受けた。

結果、小ネタの羅列に終わってしまい、後半に向けて盛り上がっていく展開が見えなかった。

【GAG少年楽団】
老いらくの幼馴染みによる恋愛劇かファミリードラマか。

「見た目はすっかり老人なのにやりとりは幼馴染みのまま」という時制と感覚のズレが設定として効いてくるかと思われたが、むしろその設定からハミ出す部分がないために、「設定だけですべてが説明できてしまう」という落とし穴にハマッてしまっている印象。

東京03に近い作風だと感じたが、東京03の場合はいったんかっちりした設定にキャラクターをはめ込んだ上で、それを思い切って破壊するという展開力がある。

タイプとしてはホームランバッターではないのかもしれないが、コンテストにおいてはやはりなんらかの破壊力が欲しい。

【ゾフィー】
母親が出て行ってしまった直後の父子。だが息子の「メシ至上主義」が炸裂するという感覚的な「ズレ」が効いている設定。

ただし、そのズレの箇所がとても明確であるがゆえに、「この1箇所の価値観のズレで押していくんだろうな」ということは早い段階で観客にわかってしまうため、その先の展開で観客の想定外の場所にまで状況をエスカレートさせられるかどうかが勝負になる。

思わぬ方向へ連れていってくれるのか、あるいは思わぬ飛距離を叩き出すのか。4分のあいだにそのどちらかへ観客を連れていかなければならないというのは、至極難しいことなのだなと改めて痛感した。


《『キングオブコント2016』感想》
http://arsenal4.blog65.fc2.com/blog-category-42.html
《『キングオブコント2015』感想》
http://arsenal4.blog65.fc2.com/blog-entry-299.html
《『キングオブコント2014』感想》
http://arsenal4.blog65.fc2.com/blog-entry-282.html
《『キングオブコント2013』感想》
http://arsenal4.blog65.fc2.com/blog-entry-247.html
《『キングオブコント2012』感想》
http://arsenal4.blog65.fc2.com/blog-entry-200.html
《『キングオブコント2011』感想》
http://d.hatena.ne.jp/arsenal4/20110924/1316792355
《『キングオブコント2010』感想》
http://d.hatena.ne.jp/arsenal4/20100924/1285257143

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2017春ドラマ満足度ランキング(前半終了時点)

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※あくまでも個人的な満足度ランキングです。

1位 『リバース』(TBSテレビ/金曜22時/藤原竜也主演)

派手さはないものの、同枠で地道に実績を積み重ねてきた湊かなえ原作ドラマ。それゆえに期待していたが、今のところ期待以上の面白さ。

基本路線は『Nのために』に近い雰囲気を持つ群像ミステリー。シーンの時間軸を前後に動かすことで、情報を巧みに制限/解放してみせる。その時間と情報のコントロールにより、物語に緊張感と予測不能な展開を生み出してゆく。

開始前は正直キャスティングに少し疑問を感じていたが、はじまってみれば作品の持つ不穏な空気感に見事に溶け込んでいる。

個人的には、元刑事のジャーナリストとして主人公たちを追い回す武田鉄矢が、このドラマの影の立役者だと感じている。頼りなげでありながらも時に鋭く、なにもわかっていないようでいてすべてを知っているような、そんな酔拳的な「飄々とした強さ」。そして彼がふと口にするひと言が、物語を劇的に展開させる重要なスイッチの役割をも果たしている。

中盤にしてすでにクライマックス感があるが、この先さらにどこまで展開していくのか注目である。


2位 『4号警備』(NHK総合/土曜20時15分/窪田正孝、北村一輝主演)

とにかく放送時間が30分であることが信じられない。30分の中に、1時間分の展開が無理なく詰め込まれている。とても密度の濃いドラマである。だからといって拙速なイメージはなく、それぞれのキャラクターを伝える日常的なシーンもしっかり盛り込まれている。

当初は「刑事ドラマのバリエーションもいよいよここまで来たか」とやや辟易しつつ見はじめたのだが、実は毎回ちゃんと「警備員にしかできないこと」をやっている。

もちろんドラマなので、普通の警備員の範疇を越えた危険な言動は多々あるが、やはり公の存在である刑事よりも、個人に雇われている警備員のほうが被害者との人間関係を濃密に描きやすく、その点においては探偵ドラマにより近いかもしれない。

刑事モノと探偵モノのちょうど中間あたりの絶妙な場所に、いい設定を見出したという印象。


3位 『あなたのことはそれほど』(TBSテレビ/火曜22時/波瑠主演)

とにかく「現代版冬彦さん」としての東出昌大が異彩を放っている。

これまで守備的な戦いに甘んじてきた彼が第4話ラストでついに覚醒。この先どういった攻勢に出るのか、目が離せない。


4位 『緊急取調室』(第2シーズン)(テレビ朝日/木曜21時/天海祐希主演)

「取調室」という限られた空間をメインに、暴力ではなく対話だけを武器に事件を解決に導くという、おそろしくミニマムな設定。

しかし無駄にあれこれ手を広げるよりも、ピンポイントを狭く深く突いたほうがスリルが生まれるという好例。

今のところ犯人を口説き落とす手法にも毎度明快なアイデアがあって、アクションはないがカタルシスはある。


5位 『小さな巨人』(TBSテレビ/日曜21時/長谷川博巳・岡田将生主演)

『半沢直樹』班制作のドラマとのことで期待したが、現時点では期待通り半分、気負いすぎ半分といった印象。

「本庁対所轄」という内部の対立構造にこだわりすぎる余り、目の前にある事件の解明がおろそかになる時間帯が多いのが気になる。中には3話目のように、事件の捜査はほとんど進展せず単なる内輪揉めに終始する回もあり、展開が動く回と動かない回の落差が大きい。

「本庁対所轄」といえば『踊る大捜査線』が切り拓いた路線だが、あの作品には台詞にもあったように、「現場で血が流れる」という現場至上主義のオーソドックスな刑事ドラマのカタルシスがあった。

『踊る』が現場の事件捜査を進めるためにやむを得ず内輪揉めを起こしていたのに比べると、本作は内輪揉めのために事件を利用しているという逆ベクトルが働いているようにも見える。それを「本末転倒」と見るか、より「本質に迫っている」と見るか。

音楽と大声とアップに頼りすぎる演出も、ダイナミックではあるがやや飽きてきた印象もあって、痛し痒しではある。


6位 『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(フジテレビ/火曜21時/小栗旬主演)

1話目の本格的アクションシーンにはたしかに驚いた。『MOZU』的な暗い雰囲気も悪くない。全体を貫く「組織対個人」の構図も物語全体の強固な軸として申し分ない。フジテレビのドラマが見るからに迷走している中、やはりカンテレ制作ならではの信頼感もある。

しかし毎回のバッドエンドは、やはりカタルシスが足りない。たまのバッドエンドは新鮮だが、毎回そうと決まっていると、途中で「どうせ助からないんだろうな」と思ってしまい、緊張感を保つのが難しい。見せ場のアクションシーンも、解決につながらなければ無駄な動きであるような気がしてくる。

おそらく最終話まで観れば、ドラマ全体が一本の映画のように機能してくると思われる。しかし個々の回に関してみれば、1時間で得られる満足感はそう多くない。とはいえ最後まで見届けたいと思わせる作品ではある。


7位 『ボク、運命の人です。』(日本テレビ/土曜22時/亀梨和也主演)

しれっと「神様」が出てきてしまうあたり、コメディ要素が上滑りしてしまうような予感があったが、思いのほか日常設定に馴染んでおり、ラブコメとして無理なく楽しめる。

一歩ずつ二人の関係が進展していくストーリーは破綻がなく落ち着いて観られるが、意外性がないのも事実。


8位 『女囚セブン』(テレビ朝日/金曜23時15分/剛力彩芽主演)

初回のインパクトは強烈だった。おそろしく無口なヒロイン、ワケありすぎる女囚たちだけでなく、妙な空気感を放つ看守たちのやりとりまで含めて、独特の世界観がある。

2話目以降は一問一答というか、1話ごとに1人ずつ味方につけていく流れがかっちり出来すぎていて、わりと普通のドラマになってしまったような気がしないでもない。せっかくのキャラクターと世界観なので、もっと無茶苦茶やってほしいところだが。


9位 『母になる』(日本テレビ/水曜22時/沢尻エリカ主演)

テーマの重さとメッセージ性の強さがわりとストレートに提示されているぶん、エンターテインメントとしての見せ場を作るのに苦心しているように見える。

さほど劇的な展開が期待できる設定ではなく、タイトル通り少しずつ「母になっていく」ドラマであると思うので、楽しむというよりは「見守る」タイプの作品。


10位 『フランケンシュタインの恋』(日本テレビ/日曜22時30分/綾野剛主演)

突拍子もないSF設定ではあるが、1話目は思いのほか物語としてしっかり構築されていた。

しかし2話目以降は、同じことの繰り返しになりつつある。「フランケン」という特殊設定の使い道のバリエーションが、この先増えていくかどうか。すでに行き詰まっている感触はある。


【2017春ドラマ(4月スタート)傾向と対策、そしておすすめの注目作】
http://arsenal4.blog65.fc2.com/blog-entry-338.html

2017春ドラマ(4月スタート)傾向と対策、そしておすすめの注目作

小さな巨人


◆『貴族探偵』(フジテレビ/月曜21時/相葉雅紀主演/4月17日スタート)
http://www.fujitv.co.jp/kizoku/
枠内最低視聴率更新中(前作『突然ですが、明日結婚します』の平均視聴率6.7%)の「月9」、起死回生の一発となるか?
目玉は月9枠30周年の豪華キャスト。相葉雅紀、武井咲、生瀬勝久、井川遥、滝藤賢一、中山美穂、仲間由紀恵ほか。
むしろ脇役に実績のある主役クラスを置いているという意味ありげな布陣。
脚本家は『僕のヤバい妻』『ようこそ、わが家へ』の黒岩勉。両作ともトリッキーな脚本で王道とは言い難いが、「気になる展開」の名手。
“主人公が推理せずに謎を解く”ミステリー。小説原作。貴族探偵といえばTBSの失敗作『IQ246』を連想するが…。

◆『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(フジテレビ/火曜21時/小栗旬主演/4月11日スタート)
http://www.ktv.jp/crisis/index.html
フジテレビ制作のドラマよりも挑戦的な設定が多いにもかかわらず、視聴率的にはむしろ信頼と実績の「カンテレ枠」。
ただし今回は小栗旬×西島秀俊という映画主役級の二人を中心に据えているためか、そのぶんいつもよりはオーソドックスな設定に見える。
「公安×西島秀俊」という配役が『MOZU』とかぶる。石田ゆり子も両作に出ているので既視感が。
カンテレ枠には毎度新境地を期待してしまうが、今回は金曜22時TBSっぽいイメージの本格派路線か。

◆『あなたのことはそれほど』(TBSテレビ/火曜22時/波瑠主演/4月18日スタート)
http://www.tbs.co.jp/anasore/
略称は『あなそれ』? 漫画原作。
《二組の夫婦のマリッジライフと、四者四様に揺れる恋愛模様を描くラブストーリー》とのことで、『カルテット』枠でまたカルテットをやるのかという疑念が。こちらのほうがテーマが明快なので、あそこまでストーリーが散らかることはないと思うが。
しかし『カルテット』に比べると東出昌大、仲里依紗、鈴木伸之というキャスティングは派手さに欠ける印象。

◆『母になる』(日本テレビ/水曜22時/沢尻エリカ主演/4月12日スタート)
http://www.ntv.co.jp/haha/
沢尻エリカ、板谷由夏、小池栄子、藤木直人、中島裕翔ほか。
近ごろコメディ系で好調の日テレ水10枠だが、今回は《今を生きる3人の女性が「母になる」までの物語》というテーマの重さが際立っている。
「母親」経験のある人以外にも観られる内容になるのかどうか、その「入口」が今のところ見当たらない。

◆『警視庁捜査一課9係 Season 12』(テレビ朝日/水曜21時/渡瀬恒彦主演/4月12日スタート)
http://www.tv-asahi.co.jp/9gakari_12/
◆『警視庁捜査一課長 Season 2』(テレビ朝日/木曜20時/内藤剛志主演/4月13日スタート)
http://www.tv-asahi.co.jp/ichikacho2/
この二本はとにかく題名の区別がつかないのでなんとかしてほしい。

◆『緊急取調室』(第2シーズン)(テレビ朝日/木曜21時/天海祐希主演/4月20日スタート)
http://www.tv-asahi.co.jp/kintori/
通称「キントリ」。キンチョウ蚊取りマット以来の「キントリ」。
上記の「警視庁捜査一課」系(怖ろしく狭いくくりだ)二本を含め、テレ朝はとにかく『相棒』の後継を探しているように見える。
でんでん、大杉漣、小日向文世という渋すぎる脇役のメンツは気になるが、いまとなってはよく見る並びではあるかもしれない。

◆『人は見た目が100パーセント』(フジテレビ/木曜22時/桐谷美玲主演/4月13日スタート)
http://www.fujitv.co.jp/hitopa/index.html
漫画原作。女子力ゼロのリケジョ(理系女子)が主人公のラブコメ。
タイトルといい設定といいだいぶコメディ要素強そうだが、それを漫画のままではなく、上手くドラマのテンションに落とし込めるかどうか。
漫画を漫画のノリのままやって上滑りしてしまうドラマが昨今多い印象。

◆『ツバキ文具店~鎌倉代書屋物語~』(NHK総合/金曜22時/多部未華子主演/4月14日スタート)
http://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=09460
本屋大賞ノミネート作品のドラマ化。
何もかもが落ち着いている。

◆『リバース』(TBSテレビ/金曜22時/藤原竜也主演/4月14日スタート)
http://www.tbs.co.jp/reverse_tbs/
湊かなえ原作。『夜行観覧車』『Nのために』のチームがおくるヒューマンミステリー。
キャストは他に戸田恵梨香、玉森裕太、小池徹平、YOUなど。
『Nのために』が良かったので、この制作チームの手掛けるミステリーには内容的に期待できるはず。
ただ気になるのは、主演の藤原竜也とこのチームが作り出す重厚な空気感の相性。

◆『女囚セブン』(テレビ朝日/金曜23時15分/剛力彩芽主演/4月21日スタート)
http://www.tv-asahi.co.jp/joshu-7/
剛力彩芽、山口紗弥加、トリンドル玲奈、橋本マナミ、安達祐実らによる女子刑務所内マウント合戦。
深夜帯ならではの「変わり種」として気になる。

◆『4号警備』(NHK総合/土曜20時15分/窪田正孝、北村一輝主演/4月8日スタート)
http://www.nhk.or.jp/dodra/yongou/
警察ならぬ民間警備会社によるボディガード、“身辺警護” の最前線を描く物語。
警察ものが多い中、「現場で活躍する刑事からちょっと外した設定」というのも多いが、「警備員」までいくともはやまったくの別世界なのか、あるいは似たような展開が待っているのか。
おそらく後者である予感。

◆『ボク、運命の人です。』(日本テレビ/土曜22時/亀梨和也主演/4月15日スタート)
http://www.ntv.co.jp/boku-unmei/
キャストは他に木村文乃、山下智久ほか。
脚本は『きょうは会社休みます。』『世界一難しい恋』の金子茂樹。
コメディ要素強めで安っぽいようにも見えるが、結果を出している脚本家ゆえに注目作か。

◆『架空OL日記』(日本テレビ/土曜深夜1時55分《初回は3時20分》/バカリズム主演/4月15日スタート)
http://www.kaku-ol.jp/
バカリズム原作/脚本/主演。
同作はブログ→書籍化→ドラマ化という経緯だが、最初のブログ連載が2006年にスタートしていることを考えると11年越しのドラマ化。
OL目線で書いたものをドラマ化して、バカリズム本人が主演ということはどうなるのかと思いきや、HPを見る限り特にヅラも派手なメイクもないままいつもの顔で制服だけ着てしれっとOL役。それでちゃっかり周囲にフィットしている感じが面白い。

◆『小さな巨人』(TBSテレビ/日曜21時/長谷川博巳・岡田将生主演/4月16日スタート)
http://www.tbs.co.jp/chiisanakyojin_tbs/
なんといっても『半沢直樹』チームによる作品。
《警視庁と所轄の確執、警察内部の戦いを克明に描く警察エンターテインメントドラマ》であり、《謎解きを重視した本来の警察ドラマとは一線を画した、今までにはない“リアルな警察の姿”そして“人”を描く》とのこと。
そういわれるとやはり『踊る大捜査線』を連想するが、日曜劇場枠の特性からするとよりシリアスな方向だろうか。
全方位的に隙がなく、すでにクオリティは保証されたようなものだが、何もかもが正統派すぎるのがプラスに働くかマイナスに働くか。

◆『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』(フジテレビ/日曜21時/観月ありさ主演/4月23日スタート)
http://www.fujitv.co.jp/sakurakosan/index.html
ラノベ原作。主人公は骨格標本を組み立てる「標本士」とのこと。
マニアックすぎる設定+放送枠のマイナス実績により、観る側にとってはかなりハードルが高い。
そういえば近ごろ、『IQ246』の中谷美紀や『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』の波瑠もそうだったが、「死体に異様な興味を持つ」系の女性キャラが多い。

◆『フランケンシュタインの恋』(日本テレビ/日曜22時30分(初回のみ22時)/綾野剛主演/4月23日スタート)
http://www.ntv.co.jp/frankenstein_koi/
怪物と人間、年の差100歳のラブストーリー。
いくら日常に放り込んだとしても、それが結構なイケメンであったとしても、さすがにフランケンシュタインに感情移入するのは難しいのではないか。
主題歌はRADWIMPS。
ちなみに今期テレ東深夜『100万円の女たち』ではRADの野田洋次郎が主演。
『君の名は。』大ヒットの余波にしては、時すでに遅しの感も。

【今期おすすめの注目作】
◎『小さな巨人』
 日曜劇場枠+『半沢直樹』スタッフで鉄板か。
○『ボク、運命の人です。』
 脚本家が好調「日テレ水10枠」のヒットメーカー。
○『リバース』
 安定の湊かなえシフト。ただし役者陣がやや地味か。
△『貴族探偵』
 不調の月9だが、『ヤバ妻』脚本家のとんでも展開に期待。